Welcome & Happy Halloween!
この記事はアプリゲーム「アイドルマスターミリオンライブ!シアターデイズ」(ミリシタ)と連動したCD「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER WAVE 14 TRICK&TREAT」(MTW14)のドラマパートに秘められた謎について考察(ほぼ妄想)するものです。登場するキャラクターの1名、その実に意外な正体について。
当然ながらネタバレ全開で進行しますので、前情報なしでこれからドラマを聴きたいと思われる方は、CDをご購入&お聴きのうえ当記事に再来いただけると幸いです。
それではしばし、拙文にお付き合い下さい……
終始謎めいた雰囲気の中で進行するあのドラマですが、筆者が最も違和感を覚えたのはトラック05の終盤、北上麗花が偽・秋月律子(仮にジャックと呼びましょう)の誘いを断った直後の展開でした。
麗花はなぜ、せっかく取り戻したぷっぷかキャンディを、黒猫の姿になったジャックに渡してしまったのか?
この問いに対しては簡単に答えることもできます。すなわち――
北上麗花という人は誰にでもフレンドリーに接する性格で、それはヒトならざる存在に対しても発揮される。特に野々原茜が話した「変な麗花ちゃん」(=ジャック)には興味を示し、会いたいとさえ言っていた。ゆえに麗花は、望み通りに会うことができたジャックにお近付きの印としてキャンディを渡したのだ――と。
これはおおむね筋の通った説明ですが、筆者には納得できないものが残ります。麗花は偽律子の姿が消失し、代わりに猫が現れたのを見て、「……そっか。ううん。ライブ、がんばってくるね」と何かを理解したように呟いています。また、この少し後に言った「これをあなたにあげておかなくちゃね。(中略)甘いもの、あんまり食べ過ぎないようにね」というセリフ。お聴きになった方はお分かりの通り、あまりにも慈愛に満ちています。行きずりの迷惑系幽霊などにかける声とは、とてもじゃあないけど思えません。そう考えると、上述の謎は、次のように言い換えられます――
あの猫はジャックとは別の存在ではないか? であれば、その正体は何なのか?
これを解くために、黒猫が登場するもう一つの場面を振り返ってみましょう。トラック04の終盤、床に点々と落ちているぷっぷかキャンディを追っていった麗花と茜が、キャンディの袋と猫を発見するシーンです(厳密には、2匹の猫が同じ個体とは断定できませんが、ひとまずそうと仮定します。これが別の猫だったら元も子もない)。思えば、ここにも謎があります――
「猫=ジャック」であるならば、なぜヤツは盗み出したキャンディのありかをわざわざ明かすようなマネをしたのか?
これに対しても答えは用意できます。例えば――
ジャックは律子の体から分離して、キャンディをどこか遠くに隠そうとしていた。しかし人間に取り憑くのをやめると猫の姿にしかなれず、その非力な状態では大きな袋を運ぶのは難しかった。結果、キャンディをこぼしてしまい、二人に見つかった。
あるいは―― ただ単純に、愉快犯らしい自己顕示欲によるもの。
しかしながら、このキャンディ発見のシーンと、後の対話後のシーンでは一つの違いがあり、それが筆者には興味深く思えます。
トラック05の冒頭、キャンディを回収して控え室に戻ってきた麗花と茜は、まだ昼休みが始まったばかりだと思っていたのに、実際はそれがもう終わりそうだと知って驚きます。すなわち、二人が近づいた猫の周りでは時間が速く流れていた、ということになります。
一方、その少し後、麗花がジャック(偽律子)に接触した時、二人はこんな会話を交わしています。
「何やってるんですか、こんなところで!? 茜と一緒に向こうで待機してないとライブが……!」
「まだ始まらないよ? だって、ここだけ時間がびよ~んって伸びてる感じがするから♪」
なんで麗花はそんな時間のゆがみに気付けるんだ、という謎にはここでは触れないとして……この会話からは、間近に迫ったライブの開始時刻も、ジャックの周りにいればなかなかやって来ない、すなわち時間の流れが遅くなる、ということが分かります。
この2つの情報をまとめると、次のように言えるでしょう――
ジャックも猫も、周囲の時間の流れをゆがめるような超常の存在である。しかしジャックはその流れを遅くし、猫はその流れを速くする。両者が影響を及ぼした結果は正反対である。もしかするとこの事象は、ジャックは善からぬ存在、猫は善なる存在であることを暗示しているのかもしれない。
そしてこの推測に基づけば、第二の謎に対して全く別の答えを出すことができますね。
そもそも「猫≠ジャック」であり、イベントで配るはずだったグッズが消失して困っていた麗花たちを、人目に付かないように猫が助けてくれた。
加えてもう一つ、問題の猫が「黒猫」であることも重要な鍵だと筆者は見ています。黒猫、つまり黒い体毛で覆われた猫。黒い毛と聞いて誰かを連想しませんか? ……そう、ミリオンライブの中で、いや全アイマスの中でも屈指の美しい黒髪を持つと誉れ高い(と筆者が確信する)北上麗花その人です。麗花と猫には何らかのつながりがある、そんな可能性は十分にあります。
さて、そろそろ冗長な文を切り上げて、第一の謎に対する答え……あの猫は結局何者か、それを述べましょう。
ジャックと同じ異界の者でありながら、それとは真逆の、麗花たちを助けてくれる存在。黒い体毛という麗花との共通点を備え、麗花から愛情を込めた声で語りかけられる存在。これだけ手がかりが揃えばもう断言していいでしょう――
このドラマに登場する黒猫は、幼い頃にこの世を去り、今は守護霊となった「北上麗花の妹」である!!
――いかがでしたでしょうか。結局のところ、ここに記した考察はすべて確証のない憶測に過ぎません。とはいえ、空想することは常に自由です。今回は筆者が担当アイドルに感じた違和感から想像を広げました。次はあなたの担当アイドルにまつわる、嘘のような本当のような考察物語を読めることを願ってやみません……と記して、筆を置かせていただきます。最後までお読み下さり、ありがとうございました!